今年も残すところあとわずか、中央競馬も有馬記念でオーラスを迎える。来年以降は違うっていうのは違和感があるが、それは機会があれば取り上げるとして、やはり「有馬記念」と聞くと胸躍るのは変わらない。実はこれ先週の内にある程度書いていたのだが、前回記事の通り、私の頭の中は何ともいえない気持ちが渦巻いていて、正直、SMAPが紅白出るのでないのなんてどうでもいい(挨拶くらいあっていいとは思うけどね)。とにかくあと2回あるWIN5のどちらかと有馬記念を当てて、いい気分で年を越したいのである。昨年の有馬記念は、粘る菊花賞馬☆キタサンブラックを、◎ゴールドアクターと○サウンズオブアースが交わしてゴールするという、当ブログ始まって以来と言ってもいいくらいの会心の的中だった。本当のところ、△マリアライトが3着に上がっていれば配当的にはもっと儲かったのだけど。今年の有馬記念には、上記の1〜4着馬が揃って出走を予定している。4着馬は置いといて、前年の1〜3着馬が揃って翌年も出走するというのは、過去20年を振り返っても、1999、2001、2011年の3年のみ。他のGⅠと比較していないので何ともいえないが、有馬記念というレースは、古くは1990年のオグリキャップ、最近では2014年のジェンティルドンナや2013年のオルフェーヴルなどスターホースが引退レースに選ぶことが多く、上位馬が揃うというのは非常に珍しいケースと言ってもよいかもしれない。ということで予想の参考になるかは分からないが、この3年はどういう結末になったか振り返ってみることにする。ますは1998年の有馬記念はどうだったか。わたしが初めて現地観戦したこの年は、シーキングザパール、タイキシャトルが日本調教馬初の海外GⅠ制覇を果たし、ダービー馬のスペシャルウィークは菊花賞後、ジャパンカップに出走するなど(3着)、海外志向が高まっていた中でのレースだった(ちなみにジャパンカップはエルコンドルパサーが旧4歳馬初の勝利だった)。そんな中、人気を集めたのは皐月賞と菊花賞を制したセイウンスカイ、前年3着でジャパンカップは2着だったエアグルーヴ、天皇賞・春を勝ち、前年のステイヤーズSを圧勝していたメジロブライトの3頭が単勝一桁オッズの1〜3番人気に。スペシャルウィーク、エルコンドルパサーは出走しなかったものの、GⅠ馬8頭が揃い(後に高松宮記念を勝つキングヘイローを除く)、豪華といっていいメンバーだった。わたしの本命はメジロドーベルだったが、勝つのは大体この3頭のどれかと思われていた。しかし勝ったのは、離れた4番人気に甘んじていた前年の朝日杯3歳Sの勝ち馬グラスワンダー。旧3歳時は「怪物」と騒がれながら骨折して戦線離脱。毎日王冠で復帰するも精彩を欠き、次走アルゼンチン共和国杯でもかつての輝きは取り戻せていなかった。正直、この馬が勝ったのならドラマチックだと思ったところもあったが、「ちょっと出来すぎだろう」と思い軽視、まさか本当に勝つとは思わなかった(それ以上に当日の込みようとオケラ街道の空しさに辟易したね)。上位人気馬はメジロブライトが2着に入り面目を保ったが、逃げたセイウンスカイと引退レースだったエアグルーヴは4、5着。3着に食い込んだのは11番人気のステイゴールド。天皇賞・春秋、宝塚記念とGⅠで2着していたが、ジャパンカップ10着で未だに重賞未勝利でこのメンバーに入ると流石に厳しいと思われたのだが、4度目の激走(この後も続くけど)だった。〈1998年 有馬記念〉1_グラスワンダー(的場)(14.5倍④)2▲メジロブライト(河内)(5.3倍③)3_ステイゴールド(熊沢)(40.8倍⑪)4△セイウンスカイ(横山典)(2.7倍①)5_エアグルーヴ(武豊)(3.8倍②)9◎メジロドーベル(吉田豊)(20.8倍⑦)さてここからが本題。グラスワンダー、メジロブライト、ステイゴールドの3頭は1999年、どのような経過で有馬記念に出走してきたか。まずはグラスワンダー。復活勝利を挙げたものの、相変わらず順調に使えず春は京王杯SCからスタートすることに。ここは勝てたものの、次走、安田記念はエアジハード相手に敗れ2着。続く宝塚記念は天皇賞・春を勝ってきたスペシャルウィークと初顔合わせ。1番人気は譲ったものの、3馬身差の圧勝だった。そして秋初戦は毎日王冠、しかしメイショウオウドウに思わぬ苦戦、ハナ差で勝てたものの不安を残した。目標にしていたジャパンカップは跛行により回避。続く、有馬記念はそのジャパンカップを制したスペシャルウィークとの再戦となった。前年2着のメジロブライトは始動戦の日経新春杯は勝ったものの、阪神大賞典、春天とスペシャルウィークの後じんを拝し2着。世代交代を印象づけられた。秋は京都大賞典2着の後、天皇賞は11着と大敗。そして有馬記念へと進んだのだった。前年11番人気で3着と穴を開けたステイゴールド(とは言ってもこの当時はいわゆる3連馬券は発売していないので複勝を買った人以外は恩恵は受けていないが)。1999年はこの有馬記念で10戦目だったが、未だに重賞を勝つことが出来ないまま。しかし宝塚記念3着、秋天は2着とGⅠでの善戦は続いていた。そして迎えた有馬記念。順調に使えなかったグラスワンダーだったが宝塚記念でつけた3馬身差が大きく、この年GⅠ3勝のスペシャルウィークを差し置いて1番人気に。前年2着のメジロブライトは距離が短かった秋天では惨敗も得意の舞台に踊り3番人気。菊花賞馬のナリタトップロード、皐月賞馬のテイエムオペラオーの旧4歳勢は古馬の壁が厚く4、5番人気、京都大賞典でメジロブライト、スペシャルウィークに勝っているツルマルツヨシが6番人気、前年の2冠牝馬ファレノプシスをはさみ、前年3着のステイゴールドが8番人気になるほど、前年を上回る豪華メンバーだった。レースは3、4コーナーから動きが激しくなり、外に持ち出したグラスワンダーを最後方待機のスペシャルウィークと武豊がマークし上がっていき直線へ。先に抜け出したツルマルツヨシが勝ったと思ったところを、馬群を割ってテイエムオペラオーが迫り、さらに外からグラスワンダーとスペシャルウィークが並んで交わしたところがゴール。勝利を確信した武豊がウイニングランをする中、写真判定の末、グラスワンダーがハナ差残っていた、という結末だった。〈1999年 有馬記念〉1_グラスワンダー(的場)(2.8倍①)2_スペシャルウィーク(武豊)(3.0倍②)3_テイエムオペラオー(和田)(12.0倍⑤)4◎ツルマルツヨシ(藤田)(12.1倍⑥)5▲メジロブライト(河内)(6.5倍③)6_ゴーイングスズカ(芹沢)(163.6倍⑭)7○ナリタトップロード(渡辺)(6.8倍④)8△ファレノプシス(蛯名)(68.8倍⑨)9△フサイチエアデール(福永)(79.0倍⑩)
10_ステイゴールド(熊沢)(31.6倍⑧)前年の覇者グラスワンダーが連覇。グラスワンダーはこの年。決して順調とはいかなかったものの、意地で勝った感じがした。今年連覇を狙うゴールドアクターも、「怪物と呼ばれた男」グラスワンダーと比較しちゃいけないかもしれないが、春天で惨敗したり、JCでも4着とGⅡは勝つがもどかしい成績。ただ今年勝ったGⅡ共に中山だし、コース適性はバツグンで人気を落とすようなら狙い目か。2〜4着には前年不出走の馬が入った。スペシャルウィークレベルの馬は今年のメンバーにはいないが、3着に皐月賞馬のテイエムオペラオーが入っておりやはり3歳馬は要注意。個人的にはこの馬と一番イメージがだぶるのはディーマジェスティなんだけど。今年の菊花賞馬サトノダイヤモンドはどっちかというと同じ菊花賞馬のナリタトップロードの方が近い気が(クラシックの着順が3→2→1というのは全く同じだし)。中山が合わずに負ける可能性も。前年の2、3着メジロブライトとステイゴールドはらしい負け方といえばそれまでだが、リベンジを果たすどころか、さらに着順を落とすことに。若手が伸びる中で厳しいレースになった。ただステイゴールドに関してはこの後に重賞勝ったり、香港でGⅠ勝っちゃうんだけど。ということで、ここで過去20年の有馬記念の勝ち馬の翌年の成績をば。
1996 サクラローレル(2.2倍①)→引退
1997 シルクジャスティス(8.1倍④)→7着(19.8倍⑥)
1998 グラスワンダー(14.5倍④)→1着(2.8倍①)
1999 グラスワンダー(2.8倍①)→引退
2000 テイエムオペラオー(1.7倍①)→5着(1.8倍①)
2001 マンハッタンカフェ(7.1倍③)→引退
2002 シンボリクリスエス(3.7倍②)→1着(2.6倍①)
2003 シンボリクリスエス(2.6倍①)→引退
2004 ゼンノロブロイ(2.0倍①)→8着(6.8倍②)
2005 ハーツクライ(17.1倍④)→引退
2006 ディープインパクト(1.2倍①)→引退
2007 マツリダゴッホ(52.3倍⑨)→12着(4.4倍②)
2008 ダイワスカーレット(2.6倍①)→引退
2009 ドリームジャーニー(4.0倍②)→13着(12.1倍④)
2010 ヴィクトワールピサ(8.4倍②)→8着(10.2倍④)
2011 オルフェーヴル(2.2倍①)→不出走
2012 ゴールドシップ(2.7倍①)→3着(4.4倍②)
2013 オルフェーヴル(1.6倍①)→引退
2014 ジェンティルドンナ(8.7倍④)→引退
2015 ゴールドアクター(17.0倍⑧)→?流石にこのレースの勝ち馬はそれを勲章に繁殖入りすることが多く、翌年も出走した馬はゴールドアクターを含めると半数の10頭のみ。と、書いたものの、実際のところはサクラローレルにしてもグラスワンダーにしても他にも、勝って引退ではなく翌年も現役続行しながら志半ばで引退というパターンが多いんだが。現役続行のままで翌年走らなかったのは2012年のオルフェーヴルしかいない。ここで有終の美というのは、シンボリクリスエス、ディープインパクト、オルフェーヴル、ジェンティルドンナの4頭だけ。連覇を狙った9頭中、達成できたのはグラスワンダー、シンボリクリスエスの2頭、1年置いて勝ったオルフェーヴルを含めた3頭はいずれも前回よりも人気を上げていて(単勝オッズが下がって)1番人気だった。逆に敗れた7頭で人気が上がりながら勝てなかったのは9番人気の人気薄で勝って翌年2番人気だったマツリダゴッホのみ。翌年1番人気で負けたのはテイエムオペラオーだけで、ゴールドアクターが1番人気になるとは思えずちょっと苦しいかも。今気づいたが、ゴールドアクターの今年の成績、マツリダゴッホの2008年と酷似してる。香港いったか春天出たかの違いしかない。あと今年は関係ないが、前年1番人気で勝った馬は9頭いたが、出走してきた3頭は全て負けている。やはり連覇は簡単ではない。ただ去年勝ったということでコース適性等に不安はない。去年がフロックでないと証明できるか。ゴールドアクターの結末は如何に?つづく。
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